ダ ル メ シ ア ン の 毛 色 と 聴 覚 障 害

 1. ダルダル雑学〜毛色の成り立ち(遺伝子の影響)  2. 先天性聴覚障害〜毛色との関連・繁殖について
 3. 繁殖者の責任〜考えて行かねばならない事  4. 聴覚障害を持つ犬のトレーニングについて


4. 聴覚障害を持つ犬のトレーニングについて
 先天性の聴覚障害は聴覚器官自体が損なわれている為に聴覚が失われているので、根本的な治療はなく、聞こえるようにする事は不可能なようです。
 片耳が聞こえない犬については、音源の方向がわかりにくいなどの問題はあるものの、普通に聞こえている犬のトレーニングと変わらない方法で充分学習することができると思います。両耳が聞こえない犬のトレーニング法については確立された方法があるとは聞いた事がありません。それだけ難しいとも言えるでしょうが、全国のダルメシアンオーナーの中には耳が聞こえない子に素晴らしい躾をされている方も数多くいらっしゃると思います。恐らく、少ない情報の中いろいろな苦労をなさって、ご自分なりの方法を模索された事と思います。ぜひその方法などをDFCにお知らせ下さい。今後、聴覚障害を持つ犬のトレーニングについての情報を発信していけたならと思っています。
 聴覚障害を持つ犬のトレーニングについて、筆者は経験がないので机上の論理と言われてしまうかもしれませんが、こんな方法を聞いた事があります。とにかく音声に対する反応を求めても無理なのですから、その他の感覚、視覚や触覚に反応するように教えていくというものです。
 そもそも犬という生き物はボディ・ランゲージを読む能力に長けているので、普通のトレーニングでもハンドシグナル(手による号令)をかなりよく理解してくれます。視覚的な刺激=ハンドシグナルに従うように教えていくことが聴覚障害の犬のトレーニングにはとても有効なのだそうです。ただ、いくらハンドシグナルを出しても見ていてくれなければそれに従うことは出来ませんから、徹底的にオーナーにアテンションすることを教える必要があります。最初の内はフード・アテンション(ご褒美を使って注意を引く)でもいいし、チョンチョンとつついてあげてもいいし、家の中などでは床を蹴ってその振動で注意を促すということもできるそうです。基本はアイ・コンタクト(目線を合わせること)。これはどんな犬の場合でも同じでしょう。そしてアイ・コンタクトを楽しいものとする為に、目が合ったらニッコリ微笑みかけてあげて下さい。ご褒美をあげるのもいい方法です。他の何よりオーナーが楽しい存在であること、それがオーナーへのアテンションを高めるでしょう。すなわち信頼関係を築くということです。
 信頼関係ができアイ・コンタクトが出来るようになったなら、ハンドシグナルの教え方は、耳の聞こえる犬に教えるのと基本的に変わりません。ただ、教える側が言葉に頼ってしまわないように。言葉のコマンドだと犬の態度によって語気を荒げたりということもあるかもしれませんが、ハンドシグナルではできませんから。犬にとってわかりやすいシグナルをいつも同じようにはっきりと出してあげる事が犬の理解を早めると思います。耳が聞こえないために周囲の状況に過敏になってしまう犬もいるようですから、落ち着いた態度で優しく(甘やかすのとは違います)根気よく接してあげることが大事なのだと思います。
 多少時間と根気は必要だと思いますが、聴覚障害を持つ犬をトレーニングすることは出来ます。もしも、新しく迎えた子の耳が聞こえなかったとしても諦めないであげて下さい。そしてダルメシアンの躾に行き詰まっているオーナーさん、『家の子も耳が聞こえていないに違いない』と言って逃げないように!聞こえていてもいなくても、オーナーの責任として必要な躾やトレーニングを楽しく行なっていきましょう !!
(K)